中国 敦煌莫高窟第275窟 交脚弥勒菩薩像
Statue of Maitreya Bodhisattva in Cross-Legged Position,Cave275,Mogao Caves,Dunhuang,China
かつてシルクロードの要衝であった甘粛省敦煌市。その近郊に位置する莫高窟は、4世紀から1,000年もの長い年月にわたって造営されてきた石窟群のひとつであり、世界最大規模の仏教美術である。大小492の石窟には制作時期の変遷に伴いさまざまな様式がみられるが、なかでも第275窟は、窟形、塑像、壁画の様式などから、現存する最も古い窟のひとつと考えられている。本プロジェクトは、その第275窟の本尊である交脚弥勒菩薩像を含む窟最奥の西壁1面を、敦煌研究院文物数字化研究所の協力を得てスーパークローン文化財で復元したものである。
交脚弥勒菩薩像の全高は3.34mあり、両脇に獅子を携え、背後の壁画に両脇侍が表されている。左手は指先が、右手は手首から先が失われているが、本プロジェクトではそれぞれ与願印と施無畏印を想定し復元した。
両手が復元された第275窟西壁のスーパークローン文化財は、2021年に東京藝術大学大学美術館で開催された展覧会「みろく一終わりの彼方弥勒の世界一」にて公開された。